2011年4月28日木曜日

中国のゴルフ事情と北海道ゴルフ観光協会

道新スポーツに掲載された記事です

中国人ゴルフ人口は、30万人を超えるとも言われ、急速な経済発展にともなって急速に伸びました。もともと中国でゴルフは、資本主義を象徴するようなスポーツとして、建国以来忌み嫌われる存在で、1949年以前に上海や大連にあったゴルフ場は閉鎖され、国民がゴルフに接する機会はまったくありませんでした。
 
 1980年代以降、改革開放政策で復活したゴルフ。中国のゴルフ場はそのほとんどがメンバーコースで、会員権の相場が数十万元、ビジターの週末のプレー費が1000元を超えるところも珍しくない中、庶民の手に届くはずもなく、歴史が移ろっても「金持ち専用」スポーツであることには変わっていません。ひるがえって、ゴルフ人口の増加は富裕層が増えているという証明でもあるのです。
 
 以前は、中国人でゴルフをする人は政府の役人や外資系企業の関係者、銀行員など限られた人たちでしたが、最近では、私営企業の経営者や株で成功した人などが増えています。これまでとの違いは、特権階級の余暇としてではなく、仕事で成功し生活にゆとりができた富裕層が健康のために始めるケースが増えていることです。
 
 ゴルフ場の建設や維持には多額の費用がかかるほか、環境問題や所得の格差による不満を増幅させないために、中国政府はこれ以上ゴルフ場を造らせない方針も打ち出しているので、中国でのプレー費が安くなる見込みはあまりありません。
 
 一方、海外旅行が富裕者層の流行になりつつあり、「映画でヒットした北海道に行こう」という広告も増えています。富裕者層に「北海道でゴルフを」という流れは、中国人観光客を呼び込む火付け役になりうるという考えから、今日「北海道ゴルフ観光協会」が発足しました。
 
 もちろん、ゴルフのマナーを指摘する方もいるでしょう。日本では新たにゴルフを始める人は多くの場合、経験者と回ってマナーを教わります。しかし、中国でゴルフが広まったのはここ数年のことです。マナーをよく知っている経験者が少ないため、中国人ゴルファーの一部には平気で前の組にボールを打ち込んでくるとか、反対にプレーが遅いといった問題が起こります。中国でもこの問題は指摘され、改善しようという動きも活発になりつつあります。これはゴルフ人口の増加とともに少しずつ改善されていると思います。
 
 日本では、バブル期の1987年に制定されたリゾート法によって整備されたスキー場やゴルフ場などが、プレイヤーの減少で厳しい経営を迫られる中、中国で増えつつあるゴルフ人口を吸収して、双方の良い関係が築けられれば、ある意味で時勢にあっていると言えるのではないでしょうか。